【アニメの感想】『あの夏で待ってる』

全くもってノれなかった・・・・

舞台が俺の故郷ってことで母校やら町並みやらとにかく懐かしい背景がでてくるのはすげぇ嬉しくなってしまった。
しかし、完全のストーリーが全然だめ。
物語としては青春物でSFで恋愛物なんだけど、それぞれで重要となる要素が完全にスポイルされてしまっている。

まず、青春物としての刹那性、残酷性が決定的に欠如してる。
学校における青春ってのは卒業っていうリミットが否応なく迫ってくることによって刹那性が生まれて、そこにドラマが生まれるんだけど、そのリミットがイマイチ明示されてない。
このメンバーで過ごすことができる夏は今年だけだけで、もうこの夏は2度と戻らないって意識させないからドラマが生まれない。緊張感や焦燥感がない。
映画についてもリミットや目標がないからただなんとなくボンヤリしてて、作品の完成の是非とかどうでもいい感じ。
後半になるとイチカが帰らないといけないというリミットが出てくるんだけど、それもなんだか曖昧でピンとこない。これは後のSF性の話にも通じる。
更には人間ができてない10代を強制的に同じ空間にぶち込むことによって発生する残酷性みたいなものも描かれない。登場人物が己の利己的な行動を悔いるシーンはあるもののなんとなくのご都合主義で片付いてしまう。
これじゃあ青春物として成り立ってないじゃん・・・
スタンド・バイ・ミー』50回観て勉強しとけと言いたい。

次にSFとしての物語内のリアリティラインがテキトー過ぎる。
もちろん、フィクションなんだから嘘の設定で嘘の話をするわけんだけど、その設定がテキトー過ぎるから話がどう展開しようがどうでもいい気分にしかならない。
そもそも高度文明の宇宙人が辺境の星の土人である地球人と単独で接触(しかも民間人が)時点でどうかと思うけど、救助信号からの展開がとにかく酷い。
救助ポッドが星間戦争起こすレベルですげぇ攻撃的だし、民間人より到着遅いし、てか低度文明との接触に厳しい割に監視とか規制とかグダグダだし、具体的な危険とか懸念とか制限とかなんにもないし・・・
それに宇宙人と地球人の恋愛って・・・大丈夫なの?明らかにセックスを連想させるシーンとかあったけど、構造とか仕組みとか地球人と同じなの?
まぁ、姿形が地球人と同じって時点でその辺についてはなんにも考えてないんだろうけど、異種間交配だぜ?禁忌じゃん。
それを乗り越えるとことにペナルティとドラマが生まれるだろうに・・・完全スルー。
んで、めんどくさい矛盾やら説明不足はご都合主義で片付けられてしまう。
真面目にSFやる気も恋愛物やる気もない。
ギャラクシー・クエスト』と『ヘルボーイ ゴールデン・アーミー』をそれぞれ100回ずつ観て勉強すべきだ。

最後に恋愛物としてキャラクターに魅力がなさ過ぎる。
恋愛物なんだから、どうしてそいつがそいつのことを好きになったかってのは重要なファクターになってくる・・・けど、この話ではキャラに魅力がないからそれが全然わからない。
海人の人物像が全然魅力的に描かれないからイチカやカンナが惚れる理由が全くわからない。
逆もまた然りでイチカはメガネで、グラマラスで、文化の違いからくる天然ボケで、居候で・・・って記号的な萌え要素ばっかりで全然魅力的じゃないから海人がイチカを選ぶ理由が全然わかんない。どちらかと言うと、いつでも一生懸命なカンナの方が魅力的だ。
そんなわけでそんな二人がどうなろうと、どうでもいい。心底どうでもいい。
どうせなら観てる俺らが本気で惚れてしまうくらい魅力的にキャラを描いてくれないと。

その他諸々言いたいことはいっぱいあるけど・・・
基本的に誰がどうなろうとどーでもいいとしか思えないお話でした。


いや、まぁ、絵の描き込みとか好きなところもなくはないんだけどさ。